
不動産の売買契約書、署名の前に。見落としやすい五つの確認点を整理する
住まいの購入で、金額の次に大きな節目になるのが売買契約書への署名です。大きな金額と権利が動く場面だからこそ、あいまいなまま進めると、後になって支払日や物件の状態、契約解除をめぐって行き違いが生じることがあります。ここでは、署名の前に落ち着いて確認しておきたい点を、順に整理します。
売買契約書は「合意した条件の記録」
売買契約書は、売主と買主が合意した売買の条件を文書に残すための書類です。売買代金や手付金、支払日、引き渡し日、物件の状態、契約解除の条件などが記されます。
先に行われる重要事項説明は、契約するかどうかを判断するための説明です。それに対して契約書は、説明を踏まえて合意した内容を確定させるもの、という役割の違いがあります。宅地建物取引業者が関わる取引では、契約後に交付される書面を兼ねた契約書を作るのが一般的です。
確認点その一 代金・手付金と支払いの時期
総額だけでなく、いつ、いくらを支払うのかまで確かめておきます。
売買代金は、総額に加えて内訳と支払いの時期を確認します。契約時に支払う手付金、中間金、引き渡し時の残代金という流れになるのが一般的です。手付金は取引条件によって異なりますが、代金の5から10パーセント程度を目安に設定されることがあります。
中間金や残代金の支払期日が、住宅ローンの実行時期や手元の資金と無理なく合っているかも大切です。支払いの流れと日付が現実的かどうか、あらかじめ見ておくと安心です。
確認点その二 所有権の移転と引き渡しの日
契約書には、所有権を移す日と物件を引き渡す日が記されます。実務では、残代金の支払いと所有権移転の登記、鍵や書類の受け渡しを同じ日に行うことが多くあります。
引き渡し日は、引っ越しやリフォーム、家具の搬入、今住んでいる家の賃貸借契約の終わりなど、暮らしの段取りに直結します。無理のない日程になっているか、自分の予定と照らして確かめておきます。
確認点その三 住宅ローン特約の条件
住宅ローンを使って購入する場合に、特に確かめておきたいのがローン特約です。これは、買主が予定していた融資の承認を得られなかったとき、一定の条件のもとで契約を白紙に戻せる取り決めです。
特約が働けば、期限までに融資の承認が得られなかった場合でも、違約金を負担せずに契約を解除でき、支払い済みの手付金も返ってくるのが一般的です。ただし、次の点があいまいだと、解除できるかどうかで行き違いが起きることがあります。
- 利用する金融機関と借入予定額
- 融資承認を得る期限
- 承認が得られなかったときの解除の通知期限
ローン特約は自動で働くとは限りません。期限や金融機関などの条件が契約書に具体的に書かれていて、その通りに手続きを進めていることが前提になります。条件と期限は、署名の前に細かく確かめておくと安心です。
確認点その四 契約不適合責任と付帯設備
引き渡した物件が契約の内容と異なっていた場合に、売主がどこまで責任を負うかを定めるのが契約不適合責任です。どの範囲を、いつまで対象とするのかは、契約によって取り決めが変わります。
あわせて、エアコンや給湯器などの付帯設備について、何がそのまま残り、どれが対象外なのかを一覧で確認します。設備の状態や不具合の有無を記した書面が付くこともあるので、内容を照らし合わせておくと、引き渡し後の行き違いを防ぎやすくなります。
確認点その五 手付解除と違約金
契約後に事情が変わったときに、どのような形で契約を解除できるのかも見ておきます。相手が契約の準備に入る前であれば、買主は手付金を放棄し、売主は手付金の倍額を返すことで解除できる取り決めが置かれるのが一般的です。
また、契約に違反があった場合の違約金の額や、税金の精算の起算日なども契約書に記されます。いつまでなら、どういう形で解除できるのかを、期限とあわせて把握しておくことが大切です。
まとめ
売買契約書は、条文が多く一見むずかしそうに見えますが、確かめるべき筋道は決まっています。代金と支払いの時期、引き渡しの日、ローン特約、契約不適合責任と設備、手付解除。この五つを押さえておくと、内容を落ち着いて読み進められます。
契約の条件は、物件や取引ごとに変わります。ここでは基本の見方を整理しましたが、実際の条文の意味や、自分の場合にどう当てはまるかは、一つずつ確かめながら進めるのが確実です。分からない箇所は署名の前に、遠慮なく担当者へたずねておくことをおすすめします。
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